わすれない ~東日本大震災のこと~

わすれない ~東日本大震災のこと~

 

8月17日、東日本大震災復興支援映画会が開催され、『遺体 明日への十日間』という映画の上映がありました。

自治会からの参加の呼びかけもあり、会場では、たくさんのご近所さんをお見かけしました。あの日のことをわすれないように、こういった取り組みが香川県でも行われ、地域のたくさんの人が呼びかけに応じていることに、感心しました。

 

映画は、釜石市の実話を元に、被災直後の遺体安置所での医師・歯科医師・消防団員・自衛隊員・民生委員・被災者・市職員の方々の様子を克明に描いていました。知らなかった事実がそこにあり、悲痛な思いでいっぱいになりました。

しかし、非常事態に、どうしたらいいのかと戸惑い、必死にもがく中で、ある職員さんが見出した「僕達にはことばがある!」という言葉が、胸に響きました。悲しみを消すことはできないけれど、周りの人のこころに寄り添う小さな声掛けや気持ちが、残った人の生きる勇気につながるということを教えてくれていました。

場面は違っても、こころに寄り添う声掛けができる人でありたいと思いました。

 

しばらくして、男女共同参画センターの本棚に『心のおくりびと 東日本大震災 復元納棺師 ~思い出が動きだす日~』(今西乃子・著 浜田一男・写真 金の星社)という本を見つけました。

あの映画をみていなければ、被災地の情景がすぐには描けずに、ご遺族のグリーフ・ケアのボランティア活動を懸命に続けられた復元納棺師の方の記録を身近に辿ることはできなかったと思います。被災直後からはじまったその活動は、壮絶という言葉そのもので、笹原さんの疲労困憊される様子に息をのみ、それでも続けていかれた強い意志に、深く感銘を受けました。尊い活動であったと思いました。

記録の中に、懸命に活動を続ける笹原さんの手を握り、いたわりのお声掛けをかけられたおばあちゃんの優しさに、笹原さん自身が涙する描写があり、胸がつまりました。

気丈に活動される笹原さんもまた一人の人であり、いたわりの言葉をいただくことでまた頑張れたという事実は、また多くの教えを伝えてくれているように思いました。

 

社会の中では、個々それぞれに真摯に仕事や勉強や育児に向き合う時間があり、それぞれの場所で頑張っている。だからこそ、そのがんばりを認め合い、時に受け止め合う人とのつながりが大切なのではないかと思います。

 

本に関心のある方は、参画センターの貸し出しをご利用ください。3冊まで2週間、無料で借りられます。

(Konishi)

 

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